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〜 てんかん診療専門クリニック 〜





* 雑 感



 平成22年 年頭のご挨拶



 新年あけましておめでとうございます。
 本年も皆様に取りまして、実り多き佳い年となりますよう、お祈り申し上げます。

 と、ここまでは決まり文句のようですが、実際、今年は、てんかん診療に取りまして、かなり実りの多い年となるような気がします。
 具体的にお話ししますと、年が明け、ラモトリギン(製品名:ラミクタール)の長期投与が可能になりましたし、秋には、いよいよレベチラセタムが登場してくる予定になっているからです。

 ラモトリギンは、部分発作だけではなく、症候性全般てんかんの全般発作にも有効性が期待できる非常に優秀な抗てんかん薬で、催奇形性のリスクも少なく、難治性てんかんの診療に携わっている医師にとっては、大変ありがたい薬剤です。
 一部には、ポストバルプロ酸ナトリウムとの噂もあるぐらいです。
 この超優秀と期待されている抗てんかん薬ラモトリギンの唯一とも言える弱点が、難治性てんかんのミオクロニー発作に効果が弱いということです。
 その難治性てんかんであるSME(乳児重症ミオクロニーてんかん)やPME(進行性ミオクローヌスてんかん)のミオクロニー発作に対して有効とされているのが、秋に登場予定のレベチラセタムなのです。

 思い起こせば、新規医薬品採用に対してハードルの高い我が国におきましても、ゾニサミド(製品名:エクセグラン)以降、新世代抗てんかん薬と呼ばれる薬剤が、クロバザム(製品名:マイスタン)、ガバペンチン(製品名:ガバペン)、トピラマート(製品名:トピナ)、ラモトリギン(製品名:ラミクタール)と来て、オーファンドラッグ(希少疾病医薬品)を除きますと、このレベチラセタムが6番目となります。
 抗てんかん薬処方も、かなり様変わりしてくるかもしれません。

 さて、ここまでは、年頭に当たって、年明けにふさわしい良いお話ですが、良くない現実のお話も一つ。
 てんかん専門クリニックを開院して、1年半が経過しました。
 ありがたいことに、県外の患者さんも増えています。
 そこで改めて感じることは、相変わらず「過剰診断」が多いことと、実際にかなりひどい処方が存在することです。
 過剰診断されてしまう患者さんは、私が静岡の国立てんかんセンターに勤務していた四半世紀前に比べても、訴訟社会の影響を受けてか、却って増えているような気がします。
 処方の内容につきましては、医師個人の裁量に任される部分が大きいので、患者さん側にとって具体的な対策はありませんが、他県の事例で、かなりひどい処方をいくつか見ました。
 中には、骨董品的な多剤少量併用療法も、ありました。
 旧世代の抗てんかん薬にも、良い薬がたくさんありますので、上手に使ってもらえれば宜しいのですが、初診から、3〜4剤を併用するというのは、どう考えても間違っていると思います。
 とにかくそう言った泥沼から脱出される目的で、「新しいお薬を使ってみてください」と言ってみられるのも、一つのきっかけにはなるかもしれませんね。

 以上、まとまりのないことをダラダラと書いてしまいましたが、今年が、患者さんとその御家族の皆様にとりまして、より良い処方に出会い、人生の喜びを享受できる年になりますよう、祈願しまして、年頭のご挨拶といたします。

 平成22年1月1日(金)


なかむらクリニック

中村 仁





この項終了

平成22年1月1日(金):公開



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