~てんかん診療
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「英国NICEのてんかん診療ガイドライン2004」
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英国NICE(National Institute for Clinical Excellence:国立医療技術評価機構)が、てんかん診療ガイドラインを、ネット上に公開しています。(→
http://www.nice.org.uk/cg020)
その中から、抗てんかん薬の薬剤選択に関する部分を引用させていただきました。
無効薬だけでは片手落ちと考えましたので、有効薬も併記しておきました。
なお、現在国内未承認の薬剤は、治験中のものも含め、省略しました。
表1.てんかん発作型による薬剤選択
* 全般性強直間代発作:
1.第一選択薬
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
・プリミドン(プリミドンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・国内承認薬剤で該当するものなし
* 欠神発作:
1.第一選択薬
・エトスクシミド(エピレオプチマル、ザロンチンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ガバペンチン(ガバペン)
* ミオクロニー発作:
1.第一選択薬
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・ピラセタム(ミオカーム)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ガバペンチン(ガバペン)
* 強直発作:
1.第一選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
・プリミドン(プリミドンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
* 脱力発作:
1.第一選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
・プリミドン(プリミドンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
* 部分発作(二次性全般化発作を含む):
1.第一選択薬
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・ガバペンチン(ガバペン)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
・プリミドン(プリミドンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・該当薬なし
表2.てんかん症候群による薬剤選択
* 小児欠神てんかん:
1.第一選択薬
・エトスクシミド(エピレオプチマル、ザロンチンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
* 若年欠神てんかん:
1.第一選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
* 若年ミオクロニーてんかん:
1.第一選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
* (覚醒時)大発作てんかん:
1.第一選択薬
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
・プリミドン(プリミドンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・国内承認薬剤で該当するものなし
* 潜因性あるいは症候性局在関連てんかん:
1.第一選択薬
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・ガバペンチン(ガバペン)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・フェニトイン(アレビアチン、ヒダントールなど)
3.検討の余地のある薬剤
・アセタゾラミド(ダイアモックスなど)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
・プリミドン(プリミドンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・該当薬なし
* 点頭てんかん:
1.第一選択薬
・ステロイド(プレドニゾロンあるいはACTH)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・ニトラゼパム(ネルボン、ベンザリンなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
* 中心・側頭部に棘波をもつ良性(小児)てんかん:
1.第一選択薬
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・スルチアム(オスポロットなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・該当薬なし
* 後頭部に発作波をもつ良性(小児)てんかん:
1.第一選択薬
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・該当薬なし
* 乳児重症ミオクロニーてんかん:
1.第一選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
3.検討の余地のある薬剤
・フェノバルビタール(フェノバール、ルピアール、ワコビタールなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
* 徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん:
1.第一選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・エトスクシミド(エピレオプチマル、ザロンチンなど)
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・ステロイド(プレドニゾロンあるいはACTH)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
* レンノックス・ガストー症候群:
1.第一選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・エトスクシミド(エピレオプチマル、ザロンチンなど)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
3.検討の余地のある薬剤
・国内承認薬剤で該当するものなし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
* ランドー・クレフナー症候群(獲得性てんかん性失語):
1.第一選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・ステロイド(プレドニゾロンあるいはACTH)
2.第二選択薬
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
・トピラマート(トピナ)
3.検討の余地のある薬剤
・スルチアム(オスポロットなど)
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
* ミオクロニー失立発作てんかん:
1.第一選択薬
・クロバザム(マイスタン)
・クロナゼパム(ランドセン、リボトリールなど)
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン、ハイセレニン、セレニカRなど)
・トピラマート(トピナ)
2.第二選択薬
・ラモトリギン(ラミクタール)
・レベチラセタム(平成22年登場予定)
3.検討の余地のある薬剤
・該当薬なし
4.避けるべき薬剤(発作増悪の可能性あり)
・カルバマゼピン(テグレトール、テレスミン、レキシンなど)
以上、スペースの都合で、表ではなく箇条書きにしてしまったため、長たらしくなってしまいましたが、ご自分に必要なところだけ見ていただければ宜しいかと思います。
なお、日常診療でよく目にする薬剤で、ここに登場していない抗てんかん薬が一つあります。
国産の抗てんかん薬であるゾニサミド(エクセグランなど)です。
外されている理由は不明ですが、個人的には、トピラマート(トピナ)のあたりに位置づければ良いのかな、と考えています。
(と言いましても目安に過ぎませんので、ご参考までに)
この項終了
平成21年11月8日(日):公開
岐阜のてんかん専門クリニック、なかむらクリニック:提供